ビザとPACS

最近、悩んでいる友人がいます。
フランス人の彼と住んでいる友人。
彼女は、しっかりしていて、グループ内ではお母さんのような子。
そんな彼女が、ここ最近、泣くほど悩んでいる。


彼は、ビザ更新手続きに一喜一憂する彼女を見て
「そんなに大変なら、PACSしようか」
と言ったという。

結婚ではなくこのPACSというシステムを取るカップルは珍しくなく、
外国人がフランス人のパートナーとPACSすれば、結婚したと同様の状況となり
フランスの滞在許可がゲットできる。(勿論、毎年更新やなにやら手続きはある)

学生ビザを更新していくより、カップルの場合、PACSしてしまったほうが、
楽といえば楽らしい。

とはいえ、この台詞。
「そんなに大変なら・・・」

彼女は、彼の本心がつかめず、聞いてみた。
「好きだからするんじゃないの?」

彼は応えた。
「好きだけど、僕はずっとここにはいるつもりはないということは説明してるよね。
でも、今君にとって、PACSすることによって状況がよくなるなら、してもいいと思う」


PACSはそもそも、結婚したと同様の権利を得られるシステムで、つまり
結婚くらいの勢いが必要でもあるということ。
フランス人が結婚せずにPACSを選ぶのは、離婚するときに莫大な弁護士費用が
発生するリスク回避の為と聞くこともしばしば。
そして、もう離婚という選択肢はないね、とお互いが合点したシルバー世代が
「ついに結婚」という選択肢を取るという話もしばしば。

要は、PACS解消は離婚より簡単だから、お互いのリスクを回避するため、
ある意味「お試し」期間?!とも言えなくもないPACS。
でも、財産分与とかは結婚したときと同じようにできるとか・・・(よくわからん)

で、また彼女の話に戻り、彼女は、なぜ彼がそんなことを言うのかと怒った。

すると彼は
「でも、それで君が楽になるなら、僕はそれに協力したいと思う」

・・・優しさ????


彼女は、私のことを考えてくれているのか、と考えた。
続いて、話し合いはまだ続き、二人の間では「結婚」という選択肢まで出てきた。


「結婚」

もちろん、お互いが愛し合ってするならば、何の問題もないことだけど。
そこまで話して、彼は、
「そうすれば、フランスでずっと生活できるね」
つまり
「ビザの心配はないよね」
と言ったという。

だから・・・
「私のことが好きだから結婚するんじゃないの?」

また話し合いは振り出しに戻るのでした。

彼のご両親は、彼が幼い頃離婚していて、両親との交流はあるものの
あまり家族への執着がない模様。
更に、結婚への憧れや希望なども持っていないし、子供も欲しくない・・・

好きな女の子の生活が楽になるならと、ある意味自分の戸籍を使っていいよという彼は、
そこに、「好きな人とずっと一緒にいるため」という言葉を言えない。

それは、紛れもなく優しさだと思うけど、なんだかとても寂しくも聞こえる。
彼女の悩みは、まだ終わらない。

このPACSというシステム。
多聞に、外国人がフランス滞在を可能にするため書類だけのやり取りで行われるケースも
あるらしく、特に外国人とフランス人の場合、審査が通らないケースもあるみたい。
でも、それ以外で彼女たちのように、普通に付き合った結果、PACSという選択をする人たちも。
でも、なんで結婚じゃないんだろう。
日本人がPACSしても(どこの国の人もだけど)、戸籍は変わらないから
もし仮にPACS解消しても、×はつかない。
でも、どうしてリスク回避をしなければいけない状況で、そういう選択をするんだろう。
私には、イマイチしっくりこないです。

ビザ更新がうまくいった今、彼女の悩みはますます深まりそう・・・


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